人材育成事業(技術セミナー等) – 公益財団法人 九州先端科学技術研究所

人材育成事業(技術セミナー等)

2013.8.6 開催:第38回ISIT技術セミナー

■テーマ
生活支援ロボットの家庭への導入へ向けて
~ロボカップ@HOMEから見た現状と課題~

■日時
平成25(2013)年8月6日(火) 13:30~17:40

■会場
福岡SRPセンタービル 2階 視聴覚研修室
福岡市早良区百道浜2-1-22

■内容
工場などの特殊な環境で活躍する産業用ロボットに対し,家や公道などの生活の場で活躍するロボットは生活支援ロボットと呼ばれます.「これからは生活支援ロボットの時代が来る」と言われて久しいですが,現時点で実際に活躍している生活支援ロボットはお掃除ロボットくらいです.
講演では,サッカーで有名になったロボカップの生活支援ロボット部門であるロボカップ@HOMEとそれに向けた取組みの紹介を通して,生活支援ロボット研究開発の最前線と将来展望について,お二人の方に解説して頂きます.パネルディスカッションでは,生活支援ロボット普及に向けた技術的な課題だけでなく,社会的,心理的な課題や取組みについて議論しました.
なお,本セミナーはロボット技術の知識がない方でも理解でき,議論に参加できるよう企画し、開催いたしました.

講演[1]
RoboCupでは、21世紀半ばまでに人型ロボットが人間のチャンピオンとサッカーの試合をして勝利することを目標とした国際的な研究プロジェクトであり、研究対象をスポーツのサッカーからレスキューやアットホームに範囲を広げています.RoboCup@Homeでは、家庭などの日常的な生活環境におけるサービスロボットの実現を目指して、課題の設定を行い実機による競技を行っています.我々の研究室では、このRoboCup@Homeに取り組みジャパンオープンや世界大会にも参加してきました.この経験を紹介するとともに、先日行われた RoboCup 2013 Eindhoven における世界の状況を紹介しました.

講演[2]
国立情報学研究所では,社会的・身体的相互作用経験に基づく知能の発達・進化に関する研究を加速するための共通プラットフォームとして,仮想空間の中に配置された知能ロボットと実際の人間が対話する実験を可能にするシミュレータSIGVerseを開発しています.本講演ではこのシミュレータをRoboCup@Homeと呼ばれる競技会に適用する事例について紹介します.RoboCup@Homeは人間と知能ロボットが日常生活空間で対話をする際の知的機能を評価の対象としていますが,シミュレーションを用いた長期的で大規模な対話実験がこの競技の評価対象を質的に大きく変える可能性がある事を示しました.

パネルディスカッション
「人とロボットは友達になれるの?」「人とぶつかって怪我をしたらどうするの?」「街でロボットに囲まれたら怖いんじゃない?」「そもそもロボットなんかなくても困らないんじゃないの?」
生活支援ロボットが活躍するためには,技術的な課題だけでなく,上に挙げたような非技術的な疑問に対して社会的な共通理解を作り上げるという課題があります.本パネルディスカッションでは,技術的・非技術的な課題について議論しました.

■プログラム
13:30~13:40 開会の挨拶

13:40~14:40 講演[1]:ロボカップ@HOME,実機部門参加の紹介等                      
講演者:大橋 健 氏(九州工業大学)

14:40~15:40 講演[2]:ロボカップ@ホーム,シミュレーション部門,SIGverseの紹介            
講演者: 稲邑 哲也 氏 (国立情報学研究所/総合研究大学院大学)

15:40~15:55 (休憩)

15:55~17:30 パネルディスカッション
生活支援ロボット,家庭へのロボットの導入実現に向けて解決すべき問題
パネリスト
大橋 健 氏
稲邑 哲也 氏
木室 義彦 氏(福岡工業大学)
安田 賢一 氏((株)安川電機)

17:30~17:40 閉会の挨拶

■主催等
主催:公益財団法人九州先端科学技術研究所(九州先端研ISIT)
共催:公益財団法人北九州産業学術推進機構(FAIS)
後援:福岡市

■参加者
32名