人材育成事業(技術セミナー等) – 公益財団法人 九州先端科学技術研究所

人材育成事業(技術セミナー等)

1996.11.20 開催:第1回ISIT技術セミナー

■テーマ
「電子マネーのゆくえ」

■日時
平成8(1996)年11月20日(水)13:30~17:30

■会場
福岡SRPセンタービル 2階視聴覚研修室

■趣旨
 インターネットという言葉は広く普及しましたが、最近では電子マネーという言葉を新聞・テレビ等でよく見聞きします。
 電子マネーは欧州各国が先行しており、英国のモンデックスマネーやオランダのe-キャッシュが有名です。ドイツでは1996年11月から金融機関によるICカードの本格的普及が始まりました。また、アメリカでもアトランタオリンピックでビザキャッシュの実証実験が行われました。
 一方、わが国では通産省・郵政省はじめ多くの民間企業も実現に向けた課題を検討中です。たとえば、通産省は1995年7月に「EC(電子商取引)推進事業」のアイディア募集を行い、350社以上の企業が参加しています。また、1996年1月「日立電子マネー事業参入」が日経新聞のトップを飾り話題になりました。日立は世界で唯一モンデックスの認定を受け、モンデックス・カード用LSIを供給しています。金融機関においても大手都銀を中心に共同で検討に着手しています。
 電子マネーはネットワーク型とICカード型に大別できます。この技術セミナーでは、第1部でネットワーク型の鍵となる電子認証技術を、第2部では ICカード型で先行しているモンデックスマネーについて講演しました。

■講師
(財)九州システム情報技術研究所 第二研究室 研究員 山崎 重一郎
(株)日立製作所 新金融システム推進本部 副本部長 祝 裕太郎 氏

■講師プロフィール
山崎 重一郎
・現職 財団法人九州システム情報技術研究所 研究員
・分野 現在の研究テーマは、ネットワークエージェントと
    ネットワーク上の認証技術
    第五世代コンピュータプロジェクトにおいて、
    並列推論マシンを使った自然言語処理の研究に従事。
・経歴
 1983年 東京理科大工学部数学科卒業
       富士通入社
 1987年 富士通研究所へ転属
 1996年6月 (財)九州システム情報技術研究所へ出向
         第二研究室研究員として勤務中

祝 裕太郎 氏
・現職 株式会社 日立製作所
    新金融システム推進本部 副本部長
・分野 大規模な銀行オンラインシステムの設計/開発を中心に
    システムエンジニアとして長年従事
    現在、社長直属20名強の専任スタッフを置く新設組織>
  「新金融システム推進本部」で電子マネーに関して活躍中
・経歴
 1969年 早稲田大学卒業
       日立製作所入社
 1985年から部長職
 1990年 ソリューションビジネス推進本部・
       金融システム本部
 1996年2月より現職

■内容
(1)「インターネットにおける認証について」
   (財)九州システム情報技術研究所 第二研究室
  山崎 重一郎 研究員
 インターネット上での電子取引や電子マネーの運用基盤である電子認証技術について解説しました。公開鍵・秘密鍵暗号を使った認証・デジタル署名・認証インフラストラクチャー・電子決済プロトコル等を説明し、ISITで計画中の電子認証実験についても紹介しました。

(2)「電子マネーの現状と今後の展開について」
   ―モンデックスを中心とする実現方式・今後の展望―
   (株)日立製作所 新金融システム推進本部 副本部長
  祝 裕太郎 氏
 電子マネーの特徴や種類とともに英国地方都市において実証実験中で、昨年10月より香港でも大規模に展開されているICカード型モンデックスマネーをビデオを交えて紹介しました。また、実際のカード・残高表示器・電子財布も全員手にとって見ることができました。

■主催
(財)九州システム情報技術研究所(ISIT)

■参加者
64名