1997.6.16 開催:第4回ISIT技術セミナー
■テーマ
「インターネットの課題」
-インターネットの仕組みと電子メール-
■日時
平成9(1997)年6月16日(月)13:30~17:30
■会場
福岡SRPセンタービル 2階 SRP ホール
■趣旨
インターネットに対する社会的な期待は、情報検索や電子メールなど今日ますます大きくなっています。
WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)は一昨年から世界的に急成長し、サーバー数は昨年1年間で10倍(200万台突破)になり、ホームページのページ総数はすでに億のオーダーに突入しています。
しかしながら、現在のインターネットには、まだまだ不充分な領域が残されています。
そこで、本技術セミナーでは、第1部で米国の有名なインターネット研究機関である Merit Network に滞在し、その開発プロジェクトに参加されている平原講師を招き、米国インターネット事情を踏まえた上で、インターネットで用いられるアドレスの問題点とその解決策、ドメイン名の紛争、プロバイダーの選択方法などインターネットの病的症状およびインターネットの仕組みについて解説していただきました。
第2部では、電子メールについて、「送信したら届くはず」などの様々な誤解やまだあまり活用されていない画像や音声を組み入れたマルチメディア・メールなどの最新技術を紹介し、インターネット・メッセージの動向と普及へ向けての今後の課題を探っていただきました。
■講師/プロフィール
第1部
奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科 助教授
平原 正樹(HIRABARU Masaki) 氏
1988年 九州大学大学院情報工学専攻博士課程単位取得。東京大学情報ネットワークシステム運用センター助教授、九州大学工学部助教授などを経て、1994年から奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授(工学博士)
1996年には Merit Network, Inc.訪問研究員として渡米し、その後も共同で、インターネットの高速な経路制御アーキテクチャーの開発 IPversion6 の経路制御プロトコルの実装、インターネットの統計や性能評価に関する研究を行っている。
WIDEプロジェクトメンバー、JAINコンソーシアム幹事、日本ネットワークインフォメーションセンター運営委員長等も務め、インターネットの研究・運営に力を注いでいる。
第2部
奈良先端科学技術大学院大学
情報科学研究科 助手
山本 和彦(YAMAMOTO Kazuhiko) 氏
1994年 九州大学大学院情報工学専攻修士課程修了。
奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助手
インターネットにおけるセキュリティ、IPv6(Internet Protocol Version6)に関する研究に携わっている。WIDEプロジェクトメンバー。Emacs上のメール・インターフェイス Mewの作者。セキュリティに関しては、UNIX MAGAZINEで「転ばぬ先のセキュリティ」を連載。著書に「ハッピーネットワーキング」、監訳書に「PGP-暗号メールと電子署名」、「IPv6 -次世代インターネット・プロトコル」などがある。
■内容
第1部
「インターネットの仕組み」 13:30~15:30
―アドレスと性能劣化の問題―
奈良先端科学技術大学院大学 平原 正樹 氏
[1]インターネットで用いられている階層的アドレス(CIDR)、その長所と欠点、そして IPv6 への移行について
[2]ドメイン名の紛争について、商標との関連
[3]どの ISPを選択すべきか、
インターネットが見せ始めた病的症状に関して、これらの問題が理解できるようにインターネットの仕組みを説明しました。
第2部
「インターネット・メッセージの動向と課題」 15:40~17:30
奈良先端科学技術大学院大学 山本 和彦 氏
インターネットで最も利用されているサービスのひとつは電子メールです。しかしながら、電子メールには、誤解されている技術やあまり知られていない機能が少なからずあります。そこで、歴史的経緯を述べながら誤解を正すとともに、最新の技術を紹介し普及へ向けての課題を探りました。取り上げた技術は、多国語化、マルチメディア・メール、プライバシーの強化、およびそれらの融合、そして配送システムでした。
■主催
(財)九州システム情報技術研究所(ISIT)
■参加者
103名